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ああ、サウダーデ…哀愁のリスボン旅行⇒期間:1997年 10月29日~11月3日 やっと念願だったポルトガル――リスボンに行くことができました。同行者は女房だけ、いってみれば旧婚旅行です。
by sr_barbieri
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4日目―ながーい一日

どうせ眠れないのならと暗いうちから起き出して荷物を整理し、身支度を整えてすばやくチェックアウトをすませました。チエックイン時にクレジットカード(VISA)のインプリントが完了しているために、カードを取り出す必要すらありません。紅毛碧眼の人間には怪しげな記号としか映らないであろう崩した漢字――単に悪筆なだけという説もある――でサインをするのみです。

 しかし、どうして一日早くチェックアウトしたのかと不思議に思われるかも知れませんが、その答えは、リスボンからアムステルダムへ飛んでいる飛行機がそれほど多くないということなのです。しかも、到着時刻がどれも中途半端です。

 曜日によって多少違いますが、私たちが乗るはずだったKL494便――リスボン発 05:35――アムステルダム着 09:35――の予約がキャンセルされてしまったとなると、そのあとのKL便は、12:40発のポルト経由と14:00発しかありません。これではどう逆立ちしても、アムステルダムを13:20に離陸する大阪行きには搭乗できません。タイムマシーンでもあれば話は別ですが、1時間程度の時差ではお話にならないのです。

 他の便としては、地元ポルトガル航空(TAP)がアムステルダムへ向けて飛んでいますが、正規運賃を払ったところで、09:35発の1ストップと10:45発の2本で、アムステルダムに着くのはどちらも14:30です。大阪行きは1時間以上も前に離陸しています。

 えっ? 別に成田行きとかでもいいじゃないかですって――? 

 甘い! 格安航空券は正規運賃と違って、他の便への振り替えはいっさいできないのです。乗らなきゃそれでパー。

 つまり、なんとかして本日中にオランダ入りしなければ、どうあがいても明日の帰国便(予約が生きていればの話ですが……おおこわっ!)には間に合わないということなのです。

 接続の関係で明日早朝のアムステルダム行きに乗れなければ、もう一泊しても意味がないという理由にガッテンしていただけましたでしょうか?

 ――ガッテン! ガッテン!

 はい。みなさんガッテンしていただいたようですね。

 リスボン空港にて――

 KLMのカウンターが開く午前9時まで、すでに営業を開始しているポルトガル航空――TAPのカウンターに立ち寄って時刻表をもらいました。念のためにアムス便に空席があるかと訊ねると、今のところ大丈夫との返事でひとまず安心しましたが、肝心のアムステルダム――大阪の予約確認ができていない現状では、百パーセント不安が解消されたわけではありません。

 空港ロビーにあるセルフサービスのコーヒーショップで時間までねばることにしました。いらついて待っているので時の経つのが遅いこと――。

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初登場、女房です。顔で笑って……


 ようやくKLMのカウンターがオープンする9時になりました。パイプでできた素通しシャッターの向こうでは、青い制服に身を包んだオランダ人らしき恰幅のよい女性が、カウンターに置かれた花瓶からしおれた花を取り除いています。

 ――おいおい、そんなことしているひまがあったら早く開けてくれよぉ……。

 哀れな東洋人の願いが通じたのか、奥から男性職員が出てきて手際よくシャッターを上げてくれました。

 航空券を見せると、案の定、今日の12:40発のKL便でアムステルダムまで行ってくれといいます。

 私はつたない英語で、72時間以上前に東京オフィスに予約確認の電話を入れたとはずだと主張したのですが、残念ながらキャンセルされたあとだったといいます。

 思うに、あの時点で東京からファックスを送ってくれたところで、どうせ朝の9時にならないとリスボン・オフィスは開かないわけですから、受け取ったときにはすでに72時間を割っていたのでしょう。現地で無理なものは、東京からでも無理だったということですかね……。

 ただ、ファックスにしろ電子メールにしろ歴然とタイムスタンプが残りますから、深夜だったとはいえ、72時間以上前だったという私の主張もまんざら根拠のないものではありません。

 懸念のアムステルダム――大阪便はしっかりリコンファームされていました。これはほんとうにうれしかった。このことでどれだけ不安感にさいなまれたことか……。

 アムスでのホテルの費用や食事などもすべてKLMがもつというので、不承ながらという態度をとりつつも、内心では喜んで従うことにしました。いわゆるひとつのオーバーブッキングの扱いですね。

 本音をいえば、朝5時45分というフライトがいやだったのです。トラブルを考えて2時間前に空港へ行くとすれば、午前3時台にホテルを出なければなりません。だいたいそんな時間にタクシーをつかまえることができるでしょうか。日本で予約するときに確認しましたが、ホテル・メリディアン・リスボアには空港送迎用の車はないのです。

 丸一日リスボン観光ができなくなってしまいましたが、これも運命とあきらめることにしました。ああ、サウダーデ――って、こんなときには使わないんでしょうね。

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また来られるかなぁ……


 そんなわけで、私たちはわずか48時間あまりの滞在でリスボンをあとにすることになったのであります。リスボンの空港では、真空パックのハモンセラーノ(生ハム)とチョリソ(ソーセージ)を買いました。これでビールを飲むとメチャウマなんです。

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ビールに最高!


 生ハムなんて日本へ持ち込んでもいいのかなぁ……でも、空港の出国エリアで売っているんだし、真空パックですからね――チョリソは違うけど……。

 途中トランジットでポルト(リスボンの北の町。ポートワインで有名な観光地)に降りましたが、1時間のあいだ機内に閉じこめられたままですから外の様子は皆目わかりません。

 時差もあって、アムステルダム・スキポール空港に着陸したのは、陽も落ちた午後6時ちょうどでした。

  ふーっ。しかし,なんとかアムステルダムまでたどりつくことができました。長距離を飛ぶボーイング747――定員400人以上――などと違って、リスボン――アムスを結んでいるのは中央の通路をはさんで左右に3席ずつという小型機ですから、すぐに満席になってしまうのもうなずけます。

 KLMのホテル・カウンターで紹介されたのは、Holoday Inn Crown Plaza でした。住所が Amsterdam-Schiphol となっていますから空港に近いんでしょうね。ホリディー・インの送迎バス――道路がよいので飛ばす飛ばす、石畳に坂道のリスボンとは大違い――で15分ほどでした。

 案内されたのはダブルのスゥィートで、ズボンプレッサーからファックスまで備え付けられている申し分ない部屋です。(いいぞ、KLM――太っ腹!)

 使いたければインターネットも使わせてあげると案内書に記されていますが、睡眠不足でもうそんな気力は残っていません。

 ホテルのレストランで夕食――ここもバイキング・スタイル――をとりながら、ハイネケンを2本飲んで部屋に戻ってきたら、どっと疲れが出たのか急に酔いが回ってきました。

 ああ、なんと長い1日だったことでしょう……。
by sr_barbieri | 2010-11-14 00:46
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